[奈]夜中の…言霊紡ぎ

何故…泊ってって…言い出したのかしらね…私って…
離れたくないかしら…それとも…何かを期待しているのか…
隣に安らかな寝息を立てている彼女の寝顔を見つめながら…そう考えていた。

 

日本語の中には…「言霊」って言う単語があった…
言葉の中には…力が宿っていることを示しているみたいです…
彼女の言葉には…そのような魔力が秘めているだと思った…
いつも思い出すだけで…
自分の顔が赤くなっていくのが…よく分る…
…自分が仮面を被っているって…いつもそう言っている彼女…
だけど…何故か二人っきりになった時の彼女の言葉には…
そう感じ取ってはいなかった…仮面から漏らしたのでは無く…
心を剥き出し…気持ちをそのまま伝わるために紡ぎだした…
そのような言葉と行動に…毎回毎回、心を打たれた私が居ました…。

そっと彼女の頭を胸に抱いた…
起こさないように、優しく彼女の髪を撫でた…
何度も何度も…大好きって…言ってくれた彼女…
何度も何度も…自分にとっては特別の存在って…言ってくれた彼女…
正直…苦手だった…言われるのを…
だけど…嬉しさを感じた…温もりも…感じた…。

私は…彼女の私に対すると同じように…
彼女のことを強く思っていたのかな…
多分…それは自分で判断出来することが出来ないでしょうね…
でも…一つだけはっきりと分っていることがあるのです…

それは…彼女を…愛していること…。

額にそっと口付けをし…
彼女を抱き寄せ…もう一度のおやすみを告げた後…
久しぶりに…夢を見た…
あの温かい炎の夢を…