[思い出]亀裂…。

「集中…集中…落ち着くのです…私…。」
明かりを付けずに…私は部屋の中で指先に灯している炎を見つめました。
この前、校門で起きた騒ぎがどうも気になって仕方がなかったから…。
もし…あの時、火がどんどん大きくなったら今頃…。
それに…あの時から時々無意識で発動しているような気がした…火を出す能力。
……こんなのせいで化け物として見られたくない…人を傷つけたくもない…
なので…ここ数日、深夜になると制御する練習を始めました。

「はぁ…。」思わず溜め息を漏らした…。
こんな体質になった以上…
もう普通で居られることが難しくなったことに実感してきた。
校門での事件は手品として扱われて片付けられたが、
最近教室内に焦げ跡がどんどん増えていくことに連れ…
ついにクラスにも噂が流れ始めていた…亦璇の周りに「何かが」いるっって…。
味方かと思っていたクラスメイトたちも…
少人数だけですが私を避け始める人たちが出始めた。
未知への畏怖、好奇心…避けられるのと引き寄せるの…
矛盾しているけど共存している視線が感じるので…クラスもどんどん居づらくなって来た。
でも怖がられるのも…少しは良いことだなぁってのも思ったことあった…。
周りに人が少なくなったら…傷付ける危険性も減る。

2日前もそうだった…学校内の不良たちに目付けられて水を混ざった塩酸を掛けられた。
「ね～ね～、傷の治りが早いんだって、この子。」
「え～きっも～い。アメバとかじゃなかったりして？」
って変なことを言いながらまるで実験動物を見ている目で私を見ていた…。
最初は痛くは無かったけど…次第に灼熱感が沸き、痛みを感じ…そしたら…
また危険に遭う私を守るかのように…火が……。
結果…不良さんたちは腰を抜けて逃げ出したから無傷だけど…
あのトイレはしばらく使い物にはなれなくなった…。
そしてその怪我も…放課後の時はもうすっかり完治してたし……
このことのおかげで…また学校での知名度が一気にアップ…（遠い目
両親の耳にも…噂が入ってきて…日々につれて私を見る目がおかしくなっていく…。

「…あなたは味方で…私を守っていることが良く分かるわ…でも…方法が間違ってるよ…。」
暗闇の中で指先に灯す炎を見て、涙を流しながら…そっとそう呟いた。