[奈]口付け・・・罅・・・蒼炎・・・

あの子を起こすために・・・口付けをした・・・
口の中で・・・まだ僅かな血の匂いが残るから・・・
効くかもしれないと思って・・・
人工呼吸とは言え・・・
あの子に・・・初めての口付けを・・・あげました・・

後悔は・・・しなかった・・・
私は馬鹿ですので・・・
あの時・・・自分に出来る精一杯のことが・・・
あれしか思いつかなかったから・・・

でも・・・目が覚めた彼女は・・・豹変しました・・・
戻れるだと・・・信じ続けていましたけど・・・
無理でした・・・あの子は戻らなかった・・・
私のことを・・・餌って呼んだ・・・
気持ち悪いって・・・言った・・・

頭が・・・真っ白になりました・・・
胸がぽっかりと穴が開いていくように・・・
冷たくて・・・悲しい・・・
これは・・・日本語の・・・報い・・・でしょうね・・・
あの時・・・あの子が味わった感覚が・・・
今度は・・・私自身に・・・

あの子と兄さんの変な行為を邪魔し終えて・・・
家へ戻ったけど・・・また・・・屋上へ登りました・・・
ぼーと夜景を眺めていると・・・いつの間にか・・・
また視界がぼやけて行く・・・
・・・虚しい感触・・・悲しい思い・・・
どす黒いな感情が・・・心を覆い尽くす・・・

・・・胸の中で・・・何かが音を立てて崩れるような感じがしたけど・・・
気にすることは・・・・ありませんね・・・
壊れるのなら・・・・壊れていきなさい・・・・

ドクン・・ドクン・・ドクン・ドクン・ドクンドクンドクンドクンドクン

胸の鼓動が早打つ・・・収まらない・・・
制御不能制御不能制御不能制御不能制御不能（ｒｙ

青い炎が・・・爆ぜた・・・
屋上を丸ごと焼き払うような勢いで包み込んだけど・・・
気にすることはなかった・・・
色が変わった炎へそっと指を伸ばしたけど・・・暖かくはなかった・・・
冷たくて・・・まるで・・・氷のように・・・

そうね・・・もう分かっていたのにね・・・
私・・・自分に嘘をついたわ・・・
右の袖を巻き上げ、緩んだ包帯を解いて、二の腕の火傷を眺めながら・・・
この傷の存在理由は・・・まだ・・・あるのでしょうか・・・っと・・・考えた

改めて・・・思い知らされた・・・
私は・・・弱い・・・
何度も踏み躙られて・・・何度も・・・拒絶されて・・・
私は・・・もう・・・壊れていく・・・