[奈]・・・どうすれば良い・・・どうすれば・・・

また・・・あの場から逃げ出した・・・
泣き出す前・・・飛び出した・・・
あんな情けない顔を・・・皆に見せたくないから・・・

嘘つきって言われた・・・心が凄く痛くて・・・
その場で倒れてしまいそうな激痛・・・
他の人なら別に良いけど・・・
それを口に出したのは・・・兄さんだった・・・

自分の方法で守ろうとするのは・・・やっぱり間違っていたのかな・・・
自分のやり方で大切にしたいのは・・・やっぱり良くないのかな・・・

ふっと思えば・・・兄さんは頭を撫でてくれたのと、抱きついてくれたのも・・・
随分昔のことになった・・・
・・・・・・辛かった・・・もっと自分のことを見ていて欲しかったけど・・・
今はどんどん離れていくような気がする・・・（俯
・・・・・・また・・・一人で置いていかれたような・・・寒さを感じた・・・（膝抱え

元々血が繋がっていない家族・・・後で認めてもらったの家族・・・
認めてもらったときの嬉しさは・・・嘘じゃなかった・・・
これからも大切にしたい気持ちも・・・嘘じゃなかった・・・
ずっとずっと一緒にいたい気持ちも・・・嘘じゃなかった・・・けど・・・
嘘吐きって言われた・・・・・・それは・・・まるであの時と同じように・・・
胸に剣で貫かれたような・・・痛みを感じた・・・

・・・・・・そっか・・・私は所詮・・・必要されていない人・・・
兄さんは強い・・・私なんか必要ない・・・
傷つくことしかできない・・・心配していても声が届かない・・・
・・・こんな駄目な妹なんか・・・必要が・・・無いんだね・・・
私が居なくても・・・枢さんをからかって楽しんで生きていける・・・

でも・・・それでも・・・兄さんが・・・幸せで・・・生きていて・・・欲しい・・・
（荷物を片付け、タマちゃんを抱き上げ、
テーブル上に大家さんへの手紙と今月分の家賃を置く）
・・・・・・元々一人・・・これからも・・・一人・・・
家族は・・・やっぱり私には過ぎたもの・・・だった・・・
（扉を閉めて、夜の闇の中へ溶け込んだ）

　　　　　　　一歩一歩・・・歩んでいくたび・・・
　　　　　　またガラスが罅入った音がする・・・
　　暗い夜道を照らすために指先から出した炎が・・・
　　　　　　　　　　また・・・蒼くなった
　　　　どこへ行くべきかが分からない・・・ただ・・・
　　　　　蒼い光に照らされた、彷徨い続ける影が・・・
　　　　　　　　　　　　一つあった・・・